ゴルフコースのキャディマスター室前、その日にプレーするお客様のバッグがずらりと並んでいる。そこで目にするのが、ウッドクラブのヘッドカバーである。 クラブを買った時についてくるヘッドカバーをそのまま使っている人も多いが、動物のぬいぐるみや、キャラクター物もある。その昔、ヘッドカバーと言えば毛糸の編んだものが主流だった。そんな時代の懐かしいそしてほほえましいエピソードをご紹介したい。
昔はバッグ置き場のクラブには色とりどりの手編みのヘッドカバーがついていた。
殆どがネーム入りである。ブルーにピンクや白をあしらったもの、赤と紺、ブルーと白、グリーンと白などのコンビネーションや刺繍を凝らしたものなど、手作りヘッドカバーが沢山並んでいた。それらの殆どはキャディさんの手作り物だ。
学生時代だったと思うがプレーの後、たまに友人とキャディさんの控え室にお茶を飲みに遊びに行くと編み物をしているキャディさんが沢山いた。 キャディさん達は仕事の合間を見つけては競ってヘッドカバーを作っていた。 仕事が終わってすぐに家に帰るのではなく、残ってみんなと話しながら編み物をしているのである。現代に比べ、どこかのんびりしていた。
ヘッドカバーは使う人のイメージに合わせて、色もデザインもキャディさんが決める。 この素敵な手編みのヘッドカバー、人気のあるプレーヤーつまりもてる人はキャディさんから沢山プレゼントされる。では、もてない人は?キャディさんにこっそり頼んでアルバイトしてもらう、そんな記憶がある。
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バッグとのカラーコーディネイト 1979年ワールドレディスでの樋口久子プロ(現LPGA会長) |
数多くのプレーヤーにヘッドカバーが行渡っているのは、もてる人、もてない人のケースだけではない。キャディさんとメンバーのコミュニケーションの良さがヘッドカバーにつながっていたのである。日頃キャディさんに思いやりをかけ、いろいろな意味で心遣いの出来る人にはキャディさんはヘッドカバーで応えると言うわけだ。
キャディさんの個人的な好みは一部として多くはコミュニケーションの形がヘッドカバーだったと言える。いつの頃からかそんな連鎖が消滅してしまった。しかし、いまだに昔のままのヘッドカバーがキャディさんから届くという友人がいた。うらやましい。
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